光る海
無数の夜光虫が波の刺激を受けるたびに発光し、黄緑色にキラキラと妖しく光るのを見て、不思議さと感動を覚えた人は多いと思います。
或る静かな夜の航海中、船首で切り分けられた波頭は、夜光虫で幻想的に光り輝く。
やがて船は海面を黄緑色に光らせ、マニラの灯りを見ながらフィリピンの瀬戸内海と言われるスールー海に進んでいく。
海面は鏡のように静かで星の光をも映している。凪の海。遥か遠くに灯台の灯りが時折点滅するほかは、ザザーという船の波切りの音のみ、そして時折光る夜光虫、静かな航海。
と、突然!船の周囲の海面一面が薄い黄緑色に輝きだし、みるみる見渡す限りの海面が更に明るく発光しだした。
その光る海の真ん中を船は進んでゆく。
なんとも無気味な光景!